第79章 似非イクメン/日常
「あれ ヒソカ行くの?」
リネルの電話を一方的に終わらせ 声を掛けてくるイルミに言った。
「ウン 珍しいモノ見せてもらったし今日はもういいや」
「依頼の話じゃなかったの?」
「別途メールでも構わないしまた連絡するよ」
「何それ。ついでとはいえわざわざ来たのに」
小さな文句を述べるイルミの腕の中へ視線を這わせ、口端を持ち上げた。
「かわいいね♡ ボクも欲しいな 子供」
「ヒソカが言うと目的が違うように聞こえる。子供は玩具じゃないよ」
「でも当然、稼業させるんだろ?」
「もちろん」
自分よりは一つ経験値の上がったイルミは きっぱりそう言い切るが、ヒソカにすれば目的はどうあれ “子供とは、自身にとって好都合な存在” であることには変わりはないように思う。
「成長を楽しみにしておくよ」
もとより来るべき時期を待ち 最大限に魅力が開花する瞬間を想像しながら待ち焦がれるのは嫌いではない。今後おそらくは、型にはめ込み折角の可能性の芽を詰んでしまうであろうゾルディックのやり方は少々勿体無くも思うが、ヒソカにとっては楽しみが一つ増えたことに間違いはない。
ヒソカはそんなことを考えながら、足取り軽く店を去って行った。
fin