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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第78章 依頼人/裏


「ふぎゃあ ふぎゃあ」




酒気を含むイルミの呼吸が規則的にやや上がり出す頃、リネルの瞳が大きく揺れた。
生々しい音ばかりが折り重なる部屋の中に 小さな泣き声が聞こえてくる。曇った脳内が一気にクリアになってゆく。

不安気にイルミを見上げれば 少しも動じる様子はなく、目を背けたくなる程の艶めかしさで律動を繰り返していた。


「イルっ…リオン、が」

「っ…、なに」

「リオン 泣いてる…っ、」

「そうだね」


イルミは 一言だけ返事を返す。
リネルは少し目元をきつめ、イルミに両手を伸ばした。


「どいて…、ッ」

「なんで?」

「なんでって…子供泣いてるのに、こんな…っ、」

「泣かせておけば?」


ほんのり甘い気持ちに浸っていたが 一気に現実に引き戻される。
リネルは涙目のままイルミを睨んだ後、全身の力を使い 無理矢理にイルミを押し退け よたよたと四つん這いのままベッドを這い出ようとした。


「逃げないで」

「…離してっ!」


後ろから腕を掴まれベッドに引き戻される、背に体重を乗せられればリネルの身体は簡単に沈んでしまう。後ろから手首を掴まれ 身動きを抑えられた。


「無駄だよ」

「っ、どいて、よ」

「離さない」

「そ、んなの…」

「腰上げて」


耳元に触れる掠れた声に 再び思考が崩れそうになる。膝から腰までをイルミの掌に撫でられ 首筋に熱い吐息がかかる。
困惑した中、ズルズル腰を持ち上げれば ぐちゅりと強引にモノを奥まで挿入された。





「リネル」





イルミの声とはこんなにも欲情を煽るものだっただろうか。ゾクゾクする音を出してくるイルミを止めようとしても無駄であるし、心の底からやめて欲しいのかは自分自身もわからなくなってくる。
淫らな声を殺す事に精一杯で 返答も会話も出来はしなかった。




「オレのこと、好き?」

「…っ、わかん、ないっ」

「ま、いいや」

「……………………っ」


背中を撫でる髪の感触を感じる。
イルミの動きの激しさから終わりが近い事を予期しながら リネルは拳を握り締めていた。



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