第78章 依頼人/裏
この状況で名前を出される事が不愉快である。
冷たい声をリネルに落とした。
「そうかもね」
硬くなる先を入り口に押し込めば リネルはビクンと身体に緊張を浮かべる。余裕なく瞳を細めながら両腕を掴んでくる、それを無意味な程度の力で押し返してきた。
何を言われようと今夜はやめる気なんてない、それを明確に使えるべく抵抗を示すリネルの両手をきつくベッドに押さえつけた。
リネルとてこの先の展開はわかっているはずだ。強張る表情がそれを物語っている。
今宵見たいのはそういう顔ではない。求めさせ、喘がせ、欲に支配されただらしのない姿が見たいのだ。
「そっとだよ…ゆっくり、そっとして…!」
「うん わかってる」
言葉の意味を置き去りにしたまま 一気に腰を進めた。包まれる肉壁の感触を堪能すればストップが効く訳もなく華奢な腰を引き寄せ身体を密着させる。愛液の溢れるリネルの中をぐるりと撫で、思いのまま動きを速めていった。
「実際リネルは、クロロとどこまでやったの?」
「…っ、」
「聞いてる?」
「…っ、…」
「ねえ」
「…っ、…」
ただ耐えている様子のリネルを見下ろした。
脚を上げさせ自身の肩にかけてみる。上半身を前屈みに倒せば互いに強い圧迫感が生まれる。これはリネルの弱い体位だ。にもかかわらず目の前にあるのは記憶とはまるで違う様、リネルは眉間の距離を縮ませ ますます身体を緊張させるばかりだった。
「……っ……っ」
「可愛い リネル」
「……っ………」
「処女みたい」
本心かといえば少し違う気もするがそんな台詞が出る。白い首元に顔を埋めてみる。