第78章 依頼人/裏
「どうじゃ可愛かろう ワシの曽孫じゃ」
「ゾルディックの子供というだけで可愛いと言うより物騒、じゃないのか」
クロロは 少しばかり呆れた口調でそう返した。クロロの視線がリネルに向かい 緩やかな表情で話しだした。
「報告を受けた時には色々文句を言っていたが それなりにはやっているようで安心したぞ」
「ああ…うん。生まれてみると自分の子ってすごく可愛いもので」
「成るように成るもんだな」
「ね。取り越し苦労だったのかも」
にこり笑うリネルは リオンが産まれた日の事を思い出していた。産まれた後もほんの小さなことに心を動かされたり、心配させられたり、感動したりと いい意味で毎日が新鮮である。
ゼノにリオンを渡される。優しい手つきで受け取りながら ふんわりした笑みを子供に向けるリネルは クロロの目にはそれなりに幸せそうに映っていた。
ゼノは横目でクロロを見る。纏うオーラ自体は大人しく控えめであるものの この場では寸分も気を許していない様子を感じながら、口挟んだ。
「念のため言っておくがな」
「なんだ」
「孫の嫁とリオンに何かしたら生かしておけんぞ」
「以前に仕事外の殺生はしないと言ってなかったか?」
「よからん事ばかりを企むガキが相手なら話は別じゃ」
「そうか。だが生憎 今生き物には興味はない」
両者共 どこまでが本心でどこまでが冗談であるのか、笑顔であるのに隙一つない場の空気にはこちらの方がピリピリしてしまう。リネルはきゅっとリオンを抱き締めた。