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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第78章 依頼人/裏


リオンが産まれ3ヶ月程経った頃。今では目もしっかり開いているし、首も固定されてきた。
ここ最近では 人生初の寝返りに精を出す我が子を見守るばかりのリネルにすれば 今日の依頼人に関する事項は朗報かもしれなかった。

ただ、クロロの世間的な認知度や立ち位置 リネル個人的なしがらみを考慮すれば手放しで喜ぶわけにもいかないのは明確な事実ではある。
元々クロロが“今回の蜘蛛のある行事”の支援先にと ゾルディック家に依頼を出した事自体、リネルの耳には今の今まで一切入れられてはいなかった。仕事に関しては 情や馴れ合いを割り切って捉えるのはリネルも同じであるし 驚きはしなかったものの、急に声をかけられれば少しそわそわした気持ちにもなる。

クロロとリネルが知り合いだということは既知であったし、今回の直接の依頼先であるゼノの配慮で「挨拶くらいならば」と リオン共々客間に足を運ぶ事を許されたのだった。



「久しぶりだな」

「…クロロ」


変わらぬ表情を目の当たりにすれば 素直に嬉しくなる。リネルの出入りが許されるくらいなのだから既に重要な話は済んでいるのだろう、クロロもゼノも雰囲気がやや柔らかい気がした。

クロロの視線はすぐにリネルの腕の中できょとっとしているリオンに移るが、それは一瞬の事。次の瞬間には音もなく近付くゼノの手に リオンは軽々抱かれていた。
まだ人見知りをする月齢ではないしリオンは他の誰に抱かれても嫌な顔はしない。そのつぶらな瞳でゼノを見つめていた。


「あ~」

「おお、そうかそうか ジジイに会えて嬉しいか。また重くなったの」


リオンの顔を覗き込むゼノは 得意気な笑みを浮かべる、鋭い目をクロロへ向けた。


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