第74章 妊娠記録③羽伸ばし
「相変わらず素っ気ないねぇ ちゃんと仲良くヤってる?」
「さあ?毎日顔合わせるワケじゃないし、てゆーかしばらく色々ムカついたりしてたからあんまり会話もしたくなかったし、」
「ちゃんとしてる?」
「? 何を?」
「ヤるコト」
「は?!ヤ…?!…いきなり何言い出すの?!」
「まぁ シてるから妊娠したんだろうけど。最近の話」
ヒソカは、思い切り汚らわしいものを見る目付きをするリネルを見下ろし、話を続けた。
「キミってそっちの方も危機感薄いんだね」
「そっちって何?別に一応結婚してるんだし子供出来たっておかしくないでしょ?!なにいきなり、ほっといてよ!」
「忠告してやってるのに。少しは気をつけろよ」
「何に?だから別におかしいことじゃな
「浮気されるよ」
「……は?」
「イルミに」
「うわき…?」
「ま、既に遅いかもしれないケド」
まさか出てくるとは思わぬ単語にリネルはぽかっと口を開けた。ヒソカはそれを嘲笑い面白がる声を出す。
「もともとキミ達がどれほど健全なお付き合いをしてたのか知らないけど。仕事でお互い家に寄り付かないんじゃいつどこで誰とナニしてるかなんてわかんないだろ」
「そうだけど、…」
「オトコって溜まると出さないといけない構造なんだよね」
「……」
「キミ これからママになるのにそんな事も知らないの?」
「し、知ってるよそれくらい!!」
「くくっ、ムキになるなよ」
唯一無二の存在として愛されている自負がある訳ではないが、浮気の可能性など想像すらしなかったのが本音の所。そういえば妊娠してからも相変わらず飄々としたペースを崩さないイルミに 行為を求められた事は何度かあるが それを全て体調やどこか腑に落ちない感情を盾にし、拒み続けてはきた。