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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第74章 妊娠記録③羽伸ばし


「ゴンはまだ具体的に何かをやってる訳じゃないみたいだし、ジンは…ジンには聞きたくもないって言うかその機会もないし、仮にあっても何聞いても言い訳みたいに聞こえそうで冷静に聞ける自信がないって言うか…」

「……」


何となくではあるが。
こう言った事柄には疎いリネルだが 予感はある。ふとした会話の折に出るジンの話題に やたらと反応を見せるミトには 過去の自分を重ねなくもない。

フォローのつもりはないが 言い訳じみた言い方をするミトに、素直な答えを返してみた。


「協会ではまだまだ雑用処理係の私が語るのもおこがましいんですけど。
ハンターって努力も勉強も忍耐も必要で、危険はいつも隣合わせで。その分やりがいや達成感も大きくて。
それなのに追求しても突き詰めても終わりがないんです。そういう意味では我々にとっては “人生そのもの” なのかもしれません。」

「………そっか」


ミトは小声で言う。どこまでがミトの心に納得いく形で落ちているのかは わからないが、視点を変えて ミトに質問を投げてみた。


「ミトさんて」

「ん?」

「ジンさんのこと好きだったんですか?」

「えっ」


ミトは思い切り驚いた顔をする。大きな目が益々大きく見えた。
ぽかっと空いた口から 必死の言い訳が出てくる前にと、リネルは笑顔を浮かべながら 話し出した。


「以前私が例のキルアの兄と大喧嘩した時にゴンが 1番好きな言葉だって 教えてくれたんです。“その人を知りたいならその人が何に怒りを感じているか知ればいい”って」

「それ、…」

「キルアの兄があまりに理解がなくて私がキレて家出した時、言ってくれたんです。“理解して欲しい、理解したい”っていうのは 好きな相手に対して思うことだって」

「……」

「“好き”って定義は広いですけど。もしもミトさんがもっとジンさんのことを理解したいのだとしたら。私の予想が間違っていなかったら限りなくそういう意味に近い好きなのかなーなんて」

「……」

「あ、何となく勝手に思っただけですけど」


ミトは、ニコニコしているリネルから目をそらし、否定も肯定もせずに長い息をついた。


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