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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第74章 妊娠記録③羽伸ばし


泊まると決めたら時間を気にせず ますます大はしゃぎであったゴンとキルアは、比較的早めの時間にピタッとスイッチを切られたロボットのように寝付いてしまった。

風呂場を借り入浴を終えた後 食卓を囲んだリビングを訪れると 一息ついているミトの姿があった。リネルはその後ろ姿に声を掛けた。


「お風呂ありがとうございました。何もかもご馳走になりっぱなしですみません」

「いえいえ こちらこそ。対したお構いも出来てないのに素敵なお土産まで気を遣わせちゃって」


部屋にはふわんと上品なアルコールの香りが漂っている。手土産にとツボネが持たせてくれた酒を 1日の癒しだと言いながら口に運ぶミトを見ていると リネルの方も癒される気がした。


「リネルちゃんてお酒呑むの?」

「はい 好きですよ」

「そうなの。妊娠中じゃなかったら一緒に呑めたのにね」

「そうですね…」


酒の一杯や二杯、リネルの身体にはなんてことはないが 昨日ジンに言われた事をふと思い出し、そこから先は口を噤んだ。ミトが用意してくれたお茶に口をつけた。


「生まれたらまた遊びに来たらいいわ。 その時は一緒に乾杯しましょう」

「ええ 是非」

「それにしてもここは狭いしゴン達いるとほんとに賑やかだし疲れたでしょう?」

「いえ。こういう雰囲気って普段なかなか味わえないので すごく楽しいですよ」

「そう?キルア君家って使用人さんまでいて規模がすごいんでしょ?ゴンが言ってたわ」

「そういう意味では確かに広いし人は多いですけどね。…賑やか とは違いますから」

「そうなんだ 豪邸のお屋敷ってわからないものねー」


ミトはふうと息をつき、手元の酒に視線を落としていた。


「ねえ リネルちゃん」

「はい?」

「ハンターってどんな仕事?」

「ハンター、ですか…」


急に投げられたその質問の意図は何だろうかと予想した。ゴンもジンもハンターであるし 今更ミトがリネルにそれを問う理由がよくわからない。少し間を置いていると ミトはぷいと顔をそらせて言った。




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