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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第74章 妊娠記録③羽伸ばし


「電話してみましょうか?」

「えっ」

「えっ」

「ジンさん。とにかく飛び回ってる人なので繋がるかどうかはわからないですけど」


ゴンとミトの目が度々リネルに向けられ、それを不思議そうに見返した。ゴンは感嘆の息を漏らしながら言った。


「リネルってほんとすごいね、ジンの連絡先を知ってるなんて」

「そう?あんまり連絡した事があるワケじゃないんだけど」

「オレも知らないのに」

「え、そうなの?ジンさんて携帯100個持ってるとか通信プロバイダ買収してるから都合悪い電話は全部遮断してるとか色んな噂あるし 繋がるかはホントにわかんないんだけど…」


期待の眼差しを見せるゴンとミトの手前、一応電話を掛けざるをえない空気になる。


が、何やら自分で上げてしまったハードルは結局越えられる事はなく 登録がなされている筈の番号への発信は当たり前に機会音声に遮断されてしまった。
それを予感していたと言いたげなキルアは、平然とした口調で言った。


「やっぱり一筋縄じゃいかねーな、ゴンの親父さん」

「ほんと…ジンさんらしいけど」

「そういう所がなんか嫌なのよね 昔っから!」


ミトの声だけが 高く残っていた。


◆◆


賑やかな食事の後も各々の話は尽きることもなく 時間は過ぎあっという間に夜になってしまった。
帰宅が遅くなると身体に触るのではと心配してくれるミトに、ジンの配慮にて明日もまた休みであることを告げると一度複雑そうな顔をしながらも 良ければ一泊していけばいいと提案してくれた。
久しぶりに仕事から離れリラックス出来ているのは事実で、キルアと2人で一泊のみお世話になることを決め キルア経由でその旨一報ツボネに連絡を入れてもらった。


「そうだリネルちゃん ゴンがまだ小さかった頃のアルバムでも見る?」

「え!見たいです!」

「これはまだ赤ちゃんの頃。こっちは歩き始めたくらいかなぁ」

「うわあ めっちゃくちゃかわいい~!お目目キラキラだね」

「オレは覚えてないしなんか変な感じ」

「昔っから変わんねーな ゴンは」

「そうかなあ?」

「わ、ヤダ、この写真すっぽんぽんだ…」

「ああ これは連続おねしょでいよいよ着替がなくなった時のね」

「もう!ミトさんてば!変な写真までとっておかないでよー!!」



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