第10章 その後
キキョウとのティータイムの後、しばしの休憩の先には晩餐と称された夕食が催された。
その場では他の家族もきちんと紹介されることになる。その中にはリネルの知るキルアの姿があった。
キルアが最初のハンター試験を受けた時、リネルは試験官補佐員としてその場に召集されていたのでキルアとはすでに顔見知りだった。ハンター試験後も、近場に寄ると「ついで」との理由をつけ時々協会に顔を出してくれるのであった。
「っ……リネルかよ、ウチで何してんだよ?!」
想像通り、リネルの顔を見るなり派手に驚いてくれるキルアに事情を説明するものの、協会からの遣いの件だと思われているようで 同じ話を3度ほど聞かせることになった。
ことの経緯を理解した後の キルアの苦虫を潰したような顔が印象的すぎた。
食事中は知り合いであるキルアのおかげもあり、それ程緊張せずに臨むことが出来た。
キキョウは相変わらずにこやかにリネルに話しかけてくるし、祖父のゼノはリネルがシルバと手合わせをしたということに 好印象を抱いたようだ。これは喜ぶべきなのか、リネルにも時々稽古をつけてくれるという。
次男のミルキは、機械に詳しいとの話題があった、仕事で使うPCのアップデートなど頼れるかもしれない。
大人数での食卓は、一人暮らしのリネルにとっては新鮮で楽しいものだった。
普段 賑やかな食事といえば、ハンター協会の十二支ん等のお偉い連中との気を遣う飲み会くらい、いい印象はなかったのが正直なところだ。
イルミの家族達にどの程度歓迎されているのか腹の内はわからないが、少なくとも拒否はされていないのは明白だ。リネルにとっては素直に嬉しくもあった。
食事の場はあっという間に終わることになる。
「本日はありがとうございました。ご馳走さまでした。」
「あらぁいいのよ。ゆっくり泊まってらしてね」
「え?」
「客間を用意させているわ」
帰路につこうと挨拶をすると、キキョウにそう止められた。横目でイルミに助け舟を求めるも「都合がつくなら泊まった方がいい」と丸め込まれてしまう。