第9章 お茶会
これにて終了だろうか、リネルはようやく安堵の笑顔を見せた。キキョウは口元でリネルに笑みを返すと、イルミに向かって言った。
「ねぇイルミ、最後にアナタにも聞こうかしら。リネルちゃんのどこが好きなの?」
「え?うーん、そうだな……」
キキョウの最後の質問を聞き、リネルはほんのり眉を上げた。
回答はその場しのぎとはいえ、答える側ではなく聞く側に回るとそこまで悪い気はしない。
イルミは親の手前だと言うのに 全くの動揺も照れもなく、隣に座るリネルに真っ直ぐ視線をぶつけていた。
「オレのことを常に一番に考えて、好きでいてくれるところかな」
「……………は?」
「あらそう!こんなにいいコが来てくれるなんて幸せね イルミ」
これは何かの駆け引きなのか、こういう場では相手への褒め言葉が常識だろうに。
イルミの回答が予想外にも自分軸であったことには、つい素の声が出てしまう。
しかしキキョウはそんなリネルに構うことなく、ますます楽しげに口元を綻ばせた。
ティータイムが終わり、3人は席を立つ。キキョウは細やかな手でリネルの掌をしっかりと握った。
「リネルちゃん、イルミをどうぞよろしくね」
「…こちらこそ、よろしくお願いします」
ティータイムの終結に、リネルは細く息をついた。