第74章 妊娠記録③羽伸ばし
「一年くらい前だっけ?ダブルの称号も取ってたよね 一発合格で」
「ああ、あれはパリスの、…ええと上司のおかげもあって それこそ運よく取れただけで」
「ねえゴン そのダブルの称号って何?」
「ライセンスのランクみたいなもんだよ。ジンだってダブルなんだから リネルだってすごいんだよ!」
「えっ、そう言われると…資格でいえばそうなるけど実際はジンさんとは比べられる次元にすら並べてないからなんとも、」
元々己を過大評価はしないタイプであるが それを加味してもそう表現されると語弊が沢山あり過ぎる。
ミトは感心した表情でリネルを見つめていた。
「…本当にすごいのね リネルちゃんて」
「いえ 全然!ほんとに全然ですよ!」
「ジンとも知り合いなの?」
「はい。ハンター初めた頃から色々アドバイス頂いたりして 私にとっては大先輩です」
「仲、いいの?」
「いえ それ程では、というか仲良いなんて恐れ多いかも。ジンさんお忙しいしああいう方なんで協会にも寄り付きませんし………あ、昨日はたまたま会いましたけど」
「えっ」
「えっ」
ゴンとミトの視線が刺さる。何か変な事でも言っただろうかと リネルは瞳をくるりと丸くした。ゴンが身を乗り出してくる。
「リネル会ったの?ジンに」
「うん。あれ 言ってなかったっけ」
「オレはジンに会うだけでも色々苦労してキルアの力まで借りて大変だったのに……。リネルってやっぱりすごいんだね」
「え、だって仕事の絡みで会っただけだよ」
「でもすごいよ」
「すごくないってば!」
「そうなの リネルちゃん会ったんだ。アイツに…」
少し声のトーンを落とし 神妙な面持ちで言うミトの顔を見る。ジンとは従兄妹同士と聞くが、なかなか会う機会も少なかろうかと勝手な予想を立てた。
リネルは 少し考えた後、一つの提案を投げた。