第74章 妊娠記録③羽伸ばし
「一体どういうことなの?!いきなり帰ってくるっていうから何やらあるんじゃないかって思わないでもなかったけど…その歳で女の子妊娠させるってどういう事?!」
「はいっ?!?!」
「やっぱり…やっぱりアンタはジンの子供だわ!報告も連絡も相談もなく後先考えないで勝手に好き勝手やって どれだけ私に心配かけたら気が済むのよ!!」
「ちょっとミトさんっ 何か勘違いして
「もしかして…ひょっとして貴女の方?!さては貴女の方からこの子が年下だからってたぶらかしたんでしょう?!」
「へ?」
「仮にもこの子がハンターだからって財産とか慰謝料とかそういうの目当てなつもり?!」
「いや、その、」
「よくもまあ平然とした顔でのこのこやって来れたわね…出てって!今すぐ出て行きなさい!!」
「ちょっと、あの…っ」
盛大に勘違いをしているミトの手元からは、テーブルの上に並べられていた食器が次々にこちらに飛んで来る。割れ物だけを器用にキャッチしながら リネルは誤解をとこうと声を大きくした。
「えっと、聞いて下さい!違うんです!」
「聞くことなんか何もないわよ!!」
「ちょっ ミトさん落ち着けよ」
「離して!キルア君!」
ゴンの声が一際大きく部屋に響いた。
「もーミトさんてば!リネルはキルアのお兄さんのお嫁さんなんだよ!!」
「…え…?」
「キルアの!!お兄さんの!!!お よ め さ ん !!!!!」
「…そうだったの…?」
小声でポツンと言った後、ミトは恥ずかしそうに少し頬を赤くする。リネルは両手に食器を幾つも持ったまま 改めて挨拶をした。
「初めまして リネルと言います。ご紹介の通り今ではキルアの義姉ですが 適切な言葉で言えば ゴンとキルアの友人 というのが1番近いと思います」
「…やだ 私ったら、早とちりでゴメンナサイ…」
「いえ」
百聞は一見に如かず、実際に会ってみるとミトの印象は想像のどれにも当てはまらないと感じた。
ミトの恥ずかしがるような顔は 悪戯を咎められた子供にも見え、妙に可愛らしかった。