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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第74章 妊娠記録③羽伸ばし


物理的には距離も時間もかかったが それを然程苦だとは感じないまま、くじら島のゴンの育った家まで辿り着いた。


「ミトさーん!帰ったよー!」


見慣れた景色が見えると小走りで近寄って行くゴンに着いて、キルアとリネルも足を急がせた。

その家はこじんまりしているが 庭も塗装の剥がれた壁も、手入れが行き届いているし きちんと修繕がなされていた。玄関先をくぐると ふわん食事のいい香りが漂ってきた。
ゴンは エプロン紐を背に留めた キッチンに立つミトに向かって、明るい声をかけた。


「ミトさん ただいま!」

「ゴン おかえりなさい。予定より早かったわね」


一旦火を止めミトはこちらを振り返る、その微笑ましい光景に リネルは顔をほころばせた。なんと挨拶するかを考えていると、ゴンが先立って笑顔で2人を紹介した。


「連絡した通り、友達連れてきたよ」

「キルア君 久しぶりね。いらっしゃい」

「ちわっス お邪魔しまーす」

「それと……」

「あ、初めまして。私はリネルと言いまして、ゴンには以前からお世話になっていて…」


ミトの表情が固まる。ゴンのそれに形の似た大きな瞳はリネルのお腹に釘付けになり 何やら動揺の色が伺えた。ミトは震える声を必死に絞り出していた。


「どういうこと…」

「え?」

「どういうことなの?!ゴン!!!」

「え、なにが…?」


きょとっとした顔で口元に苦笑いを浮かべるゴンに向かって、ミトは堰を切る勢いで大声を浴びせだした。



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