第74章 妊娠記録③羽伸ばし
「リネル~ キルア~ おはよう!」
「よっ 早いな」
「おはようゴン 今日はよろしくね」
待ち合わせ場所へ着くと そこには既にゴンの姿があった。3人はゴン先導の元、くじら島までの道のりを進むことになった。
道中は長いが ゴンと会うのは久しぶりであるし、キルアとも日頃からゆっくり顔を合わせている訳でもない。話す話題はたくさんあった。
「リネル お腹大きくなってきたね」
「うん。まだまだ大きくなる筈だよー」
「…ちょっとだけ触ってみてもいい?赤ちゃんビックリしちゃうかな?」
「いいよ 大丈夫。きっと喜ぶよ」
ワンピースをお腹に添わせると 優しい曲線があらわになる。ゴンは控えめにリネルの腹部を撫でてくる。
「…この中に赤ちゃんがいるなんて何だか不思議だね」
「確かにね。」
「もう声聞こえるのかな?」
「どうだろう、わかんない」
「きっと聞こえてるよね。…元気に産まれてきてねー今度は四人でくじら島に遊びに行こうねー」
優しく声をかけてくるゴンを見ていると、朗らかな気持ちになる。一部始終を複雑な表情で見ているキルアに ゴンはにかっと歯を見せて笑った。
「キルアはこの歳でもうおじさんになるんだね」
「ハぁ?」
「だってそうだよね」
「単に戸籍上、だろ?」
「あはは 確かにね。ゴンの言う通りおじさんになっちゃうんだ」
「キルアおじさんだ」
「キルアおじさん」
「うっせーよ!」
にこやかな雰囲気のまま 3人は目的地を目指した。