第9章 お茶会
「そうですね。…ええと…とてもお仕事熱心で真面目な所、でしょうか」
「ほほ そうねぇ、このコは兄弟の中でもその辺は一番だわ」
「そ、そうなんですね」
「働き者で母としては嬉しいわ」
「…す、素敵ですね…」
とりあえず当たり障りない回答を返してみる。間髪を入れずに次なる質問がやってきた。
「じゃあそうね、なぜ結婚しようと思ったのかしら?」
「え?…なぜと言われると…ええと…」
成り行きによる利害の一致。なんてはっきり言えるはずもなく、再び当たり障りない回答を返すしかなかった。
「……ずっと……一緒にいたいと、思ったからで……」
「あらそうなの!いいわねぇ若い人達は。私も昔の事を思い出すわ。じゃあそうね、いつから付き合っていたのかしら?」
「ええと、…………」
「お付き合いのきっかけも気になるわぁ」
「それは、ですね………」
本心でもないのにイルミ本人を前にして何故こんな事を言わなくてはいけないのか。リネルは笑顔が引きつり出すのを感じていた。
先程のシルバからの洗礼が肉体攻撃と言えるならば、キキョウによる洗礼はまさに精神攻撃。
そんなリネルの気も知れずひたすら楽しそうにするキキョウは その手の質問をどんどん投げ掛ける。その度にリネルは回答を捏造するしかなかった。
もう一度同じ事を質問されると危ういのではと思った頃、キキョウが声を大きくした。
「あらヤダ もうこんな時間ね。リネルちゃん長々とごめんなさいね」
「いえ…」