• テキストサイズ

〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第73章 妊娠記録②事実報告


台風が去ったようにしんとする部屋の中、リネルはふうっと息をつく。

喜んでくれるのはありがたいが 結局の所はキキョウも自己都合、クロロの言うように 親身にリネルに寄り添ってくれるかと言えば少し違う。

下を向きながらそう思っていると カチャカチャと割られたカップを片付ける音が耳に届く。無意識にそこへ目を向けた。

使用人の柔らかい声が聞こえてきた。



「おめでとうございます」

「え…」

「主の喜ばしい事例、何よりゾルディック家にご家族が増えるのです。この家に仕える身としては心より御祝いを申し上げます」

「…ありがとう、ございます」


度々形式的に礼を言う。
それでもにこやかに顔を綻ばせている使用人の表情を見ていると ほんのり頬が熱くなる気がした。

仰々しい言葉と共に深く頭を下げてくれる使用人に向かって、顔を隠すように リネルも頭を下げた。


/ 497ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp