第73章 妊娠記録②事実報告

「キルアん家が特殊なのはわかるし 父親がまぁ アレなのもあるけどよ、だからこそ尚更 リネルちゃんがしっかりその子を守ってやんなきゃならねぇんじゃねーの？」

「…流星街って知ってる？親に捨てられた子供が集まる所なの。そこの出身である私に親のあり方なんかわかんないし、生きる為に人に言えないような汚い事だって散々してきた。私自身が人に誇れるような人間じゃない」


視線を一切合わせようとしないリネルを見ながら レオリオは静かな声で言う。


「まぁ 苦労や辛さはたくさんあったとは思うけどよ」

「……」

「嫌なことだらけの死にたい人生だったのか？」

「……」

「そうじゃねぇんだろ？同じ思いさせたくねぇっていうなら 導いてやることだって出来るしよ。何より今 その子にはリネルちゃんしか頼れる人間いねぇんだ」

「……」

「最初っから100点満点の親である必要もねぇだろ。親も子供も一緒、同じ人間なんだし並んで成長してきゃいいんじゃねぇの？」

「……」

「オレなんか見てみろよ。ハンターライセンス持ってるし医者免だって取ってんのによ どっちもまだまだ、毎日夜中まで勉強三昧だぜ？」


気まずそうな顔のまま リネルはレオリオに目を向けた。
レオリオはニッと笑みを浮かべ、パチリとウインクをきめてくる。


「ちなみにオレは楽しみだけどな。リネルちゃんの子供に会える日が」

「え…」

「リネルちゃん似の女の子だったら絶っってぇ可愛いし。
“アタシ将来先生のお嫁さんになるの～っ”なんて言われた日にゃあもう！それまでは独身貫くかなマジで」

「…」

「いや待てよ、でも父親があれじゃあな…いちいち揉めそうだしなんつーかおっかねぇし」

「…」

「あ？そうするとオレとキルアの関係はどうなんだ？えーと、キルアにとっては姪にあたるコだから……」


何やら真剣に考え出すレオリオを見ていると 重かった気持ちが少し軽くなる気もする。
自然と久しぶりの笑顔が戻っていた。