第72章 妊娠記録①一年後
「イルミにはどうせわからないよ…私の気持ちなんか!」
「わからないから何を怒ってるのか聞いてるんだけど」
「一生わからないよイルミには!生まれた時から親や兄弟がいて何不自由ない裕福な家庭で大事に育てられてきたイルミには私の気持ちなんかわからないよ!」
「生まれた時は兄弟はいなかったけどね」
この状況で重箱の隅をつつくような指摘に なにやら怒りを通り越す。もはや顔も見ていたくないとはこの事である。リネルは一直線に壁面扉へ足を進める。
「……イルミと結婚したのが間違いだったかも」
小声で吐き捨てるように言い、イルミの部屋を去った。
fin