第69章 休日デート/ほのぼの
日も暮れた頃。
2人はゾルディック家の迎えの自家用車の中にいた。
本日は久しぶりの休みとの事もあり「夜には揃って晩餐を」と出がけにキキョウに言われており、それに間に合うように帰路についたのだった。
1日慣れないことをして疲労した身体に車の弱い振動が心地いい。
すぐに眠気に襲われ、リネルは 閉じそうになる目をなんとか開けていた。
大きなプロジェクトを任され 仕事は相変わらず日々忙しい。
そして今日の休みのために 目処を立てねばならない仕事もあり 正直昨晩はあまり寝ていない。これも急に睡魔に襲われた原因だろう。
イルミは静かにあくびを咬み殺すリネルに声をかけた。
「眠いの?」
「ん…今ちょっと仕事大変でね…」
指摘をしたら開き直ったかのように目を擦るリネルは、ここ数日の勤務内容をぽつぽつと抑揚のない声で説明した。
「ふぁ…こんな時ビスケがいればなあ…、あ、ビスケってハンターの先輩でね?便利な能力使うんだよ…。あの限定ぬいぐるみはほんとはビスケのお土産にしようと思ってたんだけどさ、ぬいぐるみ似合うかなぁーって思って…」
普段よりもだいぶゆっくりした口調でイルミにすればどうでもいい事を話し出す。イルミは眠気を誤魔化すように話しているリネルに言った。
「喋ってないで着くまで寝たら?」
「ん…」
「あと少ししかないけど」
「うん…」
帰れば晩餐、それも久しぶりではあるしそれなりに楽しい時間ではあるが ゆっくり休めるのはまだ数時間先にはなりそうである。
リネルはそっと目を閉じた。