第69章 休日デート/ほのぼの
夕刻前、そろそろ帰宅しようかと園入り口付近にいた折 リネルはよく知る顔を目に止めた。
「あ、……クロロだ」
「話したい事でもあるの?」
「別にそういうワケじゃないけど…」
向こうも帰りなのか 団員達で揃って談笑をしていた。そんな彼等の姿は雰囲気云々を除けば 傍目にはとてもA級首の盗賊集団には見えない。
そう思いながら 足を止めしばし目線を送っていると 向こうもこちらに気付いてはいるようで、シャルナークやフィンクスが小さく手を振ってくる姿が見えた。
クロロは 躊躇することもなくリネル達の前に歩み寄ると、余裕の笑みを浮かべながらイルミに話し掛けた。
「まさかこんな場所で会うとはな」
「幻影旅団て暇なの?呑気に遊んでるなんてさ」
「今日は団員たっての希望でな。さっきは世話になったそうだな、礼を言う」
「ああ、あれね。後で請求するから」
「細かい男だな。思わないか、リネル?」
「…え…っ」
急に話を振られ少し上擦った声を出すリネルは クロロとイルミをチラチラ見ながら戸惑った声で答えた。
「えっと、その……今日はシズクちゃん誕生日らしいし、プレゼントって事でいいんじゃないの?」
「ふーん。さっきはあんなにつっかかってきたクセに」
「べ、別に…そこまでは…」
リネルは罰が悪そうに言う。
その光景にクロロはふっと口端を上げた。
「イルミ、前も言ったがリネルの事をあまりいじめるなよ」
「いじめた事なんてないけど?」
当たり前に言うイルミに対し リネルはぽつりぽつりと、いじめるというよりは冷たくも心配性であったりもする と言う。
イルミは少しも怯まない。さらりと言ってのけた。
「でもリネルはそんなオレが好きなんだよね?」
「え…、」
「え じゃないよ。どうなの」
「どうって…その…、っ」
イルミはリネルに答えを求める。
人前で、クロロの前で、何を言い出すのかとリネルはドギマギ焦った声を出すが イルミは少しも動じることなくじっとリネルを見据えていた。