第69章 休日デート/ほのぼの
その後2人は 遊園地の定番とも言える観覧車に向かい合って腰掛けていた。
様々なアトラクションも一通り回ったが、そもそも修羅場を潜った能力者であるし いまいちどれもピンとは来なかったが。
「わぁ!ここはいい眺めだねー」
「うちの山の標高の方が高いけどね」
気怠げに足を組みながら歯に衣着せぬ物言いで文句同然に述べるイルミを宥めるように話しながら、リネルはふうと息をついた。
「…イルミはほんとムードないよね」
「それこのタイミングで必要?」
「ここ観覧車だよ」
「だから?」
「…いや、いい」
リネルは頬杖をつくと、外の眺望に目を向けた。
ゴンドラ内の無言を リネルが破る。
「さっきはありがとう」
「なにが?」
「イルミって子供好きなの?結局は助けてくれたし」
「末のカルトとは14も離れてるし弟が幼い頃から訓練したりしてる。多分リネルよりは扱い慣れてるだけ」
「そっか」
リネルは少し悔しそうな顔をして、イルミを見つめた。
「人って見かけによらないね」
「どういう意味」
「だって少しも面倒見が良さそうには見えないし」
「そんなことないよ。」
イルミは不思議そうにころんと首を傾げる。そして 父親であるシルバにも負けないくらいに弟達を幼少時から鍛え 面倒を見てきたと話し出す。
リネルはイルミのキルアへの過保護ぶりを頭に思い浮かべた。
これは結婚前から気付いてはいたが、キルア絡みの話になるとイルミは少しだけ饒舌になる。
年齢が離れている事もあり兄というよりは半ば親にも似た気持ちなのかと勝手に推測をし、黙って話を聞いていた。