第66章 繋ぐ
先ほどまでほろ酔い気分だった頭が一気にクリアになり、リネルは大きな伸びをした。
期待をされれば応えたいとも思うし、やる気も出てくる。
「よーし!やろうかな!」
「これから?」
「仕事に関しては何でも早い方がいいし」
「それは同感だけど」
リネルはすぐに携帯電話に手を伸ばした。
「ミルキ起きてるかなぁ?」
「親父からの依頼なら多分やってるんじゃない」
イルミの言う通り ミルキはすぐにリネルの着信に応じた。
詳細についてを聞くと現状手元にある情報をパソコンに送ってくれると言う。
肩を上げ携帯電話を耳に挟みながら、手ではテキパキとテーブルの上の物を端に寄せ ノートPCを立ち上げた。
「あ、もうメール来た……見て?これだとまだ殆ど何もわかってないんだね」
「ほんとだ。まぁ二人掛かりで手分けして調べていけば何とかなるんじゃない?」
「まずは定番だけどハンターサイトから当たってみようかな」
パソコンを叩きながら ゾルディック家の人間は皆真面目で仕事が早いと感嘆の声を出すと、リネルも負けていないと 言葉が返ってきて それが妙に嬉しくなる。
イルミは空いたグラスに酒を注ぎ足しながら 少し愚痴っぽく言った。
「キルも立場を自覚して もう少しそうなってくれるといいんだけど」
「んーまだ遊びたい盛りなんじゃないの?大丈夫だよキルアはほら、要領いいし愛嬌もあるし」
宥めるような事を言いつつ、リネルは横目でイルミのグラスを見る、そして少しゆっくりした口調で言った。
「全部飲まないでね。また今度一緒に呑みたい」
「わかった」
静かな部屋にはパソコンのキーボードを叩く音が響く。しばらくパソコンに向かっていたリネルが 小さな声で言った。
「…ねぇ、お休みもらえたら何しようか」
「何したい?」
「んー出掛けてもいいけどお互い忙しいしたまには家でのんびりもいいよね、迷うなぁ」
リネルは一瞬手を止める。
そしてテーブルの端に寄せた楯に目を向けた。
「でも折角だしどこか出掛けたいな」
「なら行き先考えといて」
「うん。……イルミが連れて行ってくれるの?」
「いいよ。天国でも、地獄でも」
言い回しも今ではどこか小気味がいい。リネルは再び、パソコンに向かった。