第66章 繋ぐ
シルバは腕組みをすると 少し表情を緩めてリネルに言った。
「この仕事が終わったら休暇をやろうか」
「お休み…ですか?」
「キキョウもうるさいしな イルミに休みを出せと。お前も職場で休みを調整したらどうだ、またたまには2人で旅行にでも行ってきてもいい」
「え……っ」
リネルは目を見開く。
色々と難もあったが2人で旅行へ行った事を思い出し、伺うようにイルミを見ると イルミは小さく息をついた。
「旅行はいいや。疲れるし」
「まぁ何をするかはお前達で考えればいい」
シルバはリネルを見下ろし、不敵に笑って見せた。
「以前言っていたな、自分はこの家に相応しくないと。今でもそう思うか?」
リネルは少しの間をおき、笑顔で答えを返した。
「いえ。ここに来て良かったと思うし 私に出来る事は全力でお力になりたいし。何より今は…すごく充実しています」
「そうか」
シルバはリネルから、視線だけをイルミに向けた。
「イルミ、お前の目に狂いはなかったようだな。相応しいどころか必要以上によくやってくれている、親父も褒めていたしな」
「じいちゃんはちょっとリネルに甘過ぎるみたいだけど」
「大事にしろよ」
「わかってる」
シルバは背を向けるとリネルの部屋を去った。