第63章 翻弄
顔の角度を変えながら 唇を落としてくるイルミにとても安らぐ思いになれる。 リネルは瞳を細めふと微笑んだ。
「今日はイルミが優しい」
「なんとなくね」
「実はちょっと緊張してたから…優しくて良かった」
「物足りないって言いたいの?」
「そうじゃな……っ」
催促にもとれるその発言に イルミは唇を割り そっと舌を滑り込ませた。
始まってしまえば止まることもなく、互いに求め合うようにそれはすぐに深いものへと変わってゆく。
「っ……、」
イルミは 時折 切なげに吐息を漏らすリネルの胸元に片手を下ろし、柔らかな膨らみを撫で上げた。
夜故か下着を付けていないのが感触ですぐにわかり、何度か円を描くように撫でるだけで服の上からでもわかる程に 中心部に位置する突起が主張し出す。
リネルの口を解放し 何かを訴えるような瞳を見つめた。
「もっと触って欲しいの?」
「………うん…、…」
胸元に付いた細いリボンを指先でほどき、片手を挿し入れ直接に触れる。柔らかな膨らみを包み そっと撫でているとリネルが誘うように甘い吐息を漏らした。
「ぁ……、ッ」
「これ脱いで」
「えっ…」
「脱がせずらいし」
そう言いながら胸元のリボンをピンと引っ張って見せた。リネルはやや躊躇するような顔をし スタンドライトに一瞬目線を向ける。イルミはすぐにその目線の意図を読み取った。
「消す?」
「……いいよ、暗くてもどうせ見えてるでしょ」
「まあね。リネルも見えてるクセに」
「……」
それには答えぬままリネルは一度身体を起こす。イルミに背を向け 着ていた服を頭からぱさりと脱ぎ、それをベッドの下に落とした。
綺麗に浮き出た肩甲骨が滑やかな背中に影を落とす。その後ろ姿に引き寄せられ手を伸ばし、指の腹で 背中の曲線を 上から下へゆっくり撫でてみる。
ピクリと身体を揺らすリネルを後ろから抱き締め、肩にかかる髪を寄せると そこから覗く白く華奢な首元に唇を寄せた。
「…ッ…イルミ…?」
「なに」
「な、何でもない」
後ろから両手で胸を包み感触を堪能しつつ、耳や首筋に舌を這わすと 上ずった声が溢れ出す。その表情を確認するように イルミは再びリネルをベッドに押し倒した。