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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第62章 告白


イルミがふと眉を上げる。
そして、思い出したようにはっきり言った。


「あとそうだ。クリスフォード同行時の清算が済んでない」


リネルも素早く返事を返す。


「忘れてた。でもイルミなら言うとは思ってた」

「カットした報酬と迷惑料の差し引きって事でいいよね?」

「報酬カットはともかく迷惑料はおかしいよ!あの時は私が一番の被害者だよ」

「オレも迷惑だった」

「迷惑料はヤダ。払わない」


先程のしおらしく照れた様子はどこへやら こういった話になると断固として譲らない姿勢を決め込むリネルがいる。イルミは少しの妥協案を投げた。


「ならいいよ。迷惑料とリネルの報酬相殺ってことでどう?」

「それもおかしい。イルミは報酬もらってるんだよね?その半分は私に頂戴」

「常識で考えなよ リネルは同行しただけなのに半々はあり得ないよね」

「じゃあ4割でいい」

「おかしいってば せめて1割だよ」

「あの日は私 休日返上でイルミに付き合ったんだよ?!4割だよ!」

「じゃあ2割にしてあげる」

「4割!」

「2割」

「4割!!」

「2割」


水掛け論のようなやりとりに 悔しそうに口を尖らせた後、リネルはにわかに、甘えた声を出す。


「さっき言ったの嘘だったの?私の要求はなるべく聞いてくれるって」

「仕事は仕事だよ」

「そうだけど。……ね?また仕事手伝ってあげるから」


嗜めるように眉を下げ、やんわり微笑むリネルを見ながら イルミはほんのりため息をつく。今回ばかりは“譲って”やっても悪くもない。


「仕方ないな。今回だけ」

「ホントに?ありがとう!」


リネルは嬉しそうな声を出した。


「……ふふっ」

「そんなに嬉しい?」

「それもあるけど。イルミとちゃんと和解出来たなって!」

「和解っていうの これ?だいぶ一方的だと思うけど」

「一応和解だよ」


二人は顔を見合わせる。

もう深夜であるにも関わらず、少しも眠くはなかった。イルミの事を頼もしくも愛おしくも思え不思議な感覚になる。


「イルミ」

「なに?」

「これからもよろしくね」

「こちらこそ」


きっとここからが、第二のスタートだ。
リネルは満足そうに微笑んだ。




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