第62章 告白
リネルは言われるままゆっくりソファに進むと、隅の方に浅く腰掛けた。
「なんでそんなに離れるの?」
「…なんとなく」
「さっきは自分から近づいて来たくせに」
「い、いいの別に」
リネルは膝の上にゆるく握った自身の拳をじっと見つめていた。
ここですべきは告白への返事だろう。ただ、同じ言葉をそのまま返すのは少し異なるようにも感じていた。
かといって今は 結婚当初程 イルミを遠い存在に感じている訳でもなく。適切な言葉がわからないでいた。
「リネルも言ってよ」
「え」
「オレも言ったんだし」
「えっと…………」
つい、回答に困ってしまう。
「こういうのって間を置くほど言いにくくない?」
「ん、……まぁ」
「リネルはオレをどう思うの?」
伺うようにチラリとだけ隣を見れば、イルミは食い入るようにリネルを見つめているではないか。
顔が、本当に熱い。
リネルは小さな声を出した。
「好きか嫌いかでいったら……好きだと思う」
「随分曖昧だね」
「でも、……本心」
「普段素直じゃないくせにこういう時は素直なんだ」
「ごめん……あ、でも」
呆れたようなイルミの声に 言葉を一つ付け足した。
「イルミは今は私にとって……すごく大事な人……だよ」
「それも曖昧」
「……ごめん」
「例えばキルアや、リネルの事だからどうせクロロだって大事だよね?」
「……そうだけど。イルミの事は、その……ちゃんと異性として大事、だと思ってる」
急に距離が詰まる。上半身を伸ばし身を近づけたかと思えば、イルミはリネルの手首を掴む、それを素早く自身の方に引き寄せた。
バランスを失い体勢が崩れた。イルミに倒れ込むような角度から、顔を上にあげた。
「何…っ?」
「まぁいいよ。」
「えっ?!」
「これから先オレの事だけ1番に考えてくれれば」
「1番て……」
「そうなるよ」
リネルは戸惑いの色を浮かべて、言葉を返した。
「その自信はどこからくるの?!」
「別に自信はないよ。そうなるのが必然だと思ってるだけ」
「それを、自信と言うんじゃないの……っ」
イルミは至って真顔で言い切るのだから、少しだけ和める気すらした。