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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第62章 告白


「…もういいや、ありがとう。」


時間にすればたったの数十秒程度だったろうか。
冷静に話せるようにと願掛けにも似た気持ちで イルミに寄り添っていたリネルは、ぱっとその場を離れた。

イルミは確認するように聞いた。



「今日は普通に話せそうだね」

「うん。大丈夫」

「この前はなんであんなに不安定だったワケ?」

「なんか精神的に落ち込んでたし、イルミ怖かったし」

「怖い…か。オレ何かしたっけ?」


けろんと平然に述べるイルミに思い切り目を向ける。リネルは声を大きくした。


「忘れたの?!私に念を使おうとした!!」

「忘れてはいないよ。アレは傷付けるためのものじゃないし別に怖がる事ではないと思うけど。健康も性格も何一つ害するものではないし」

「そういう問題じゃないよ」


リネルは、一度だけ深呼吸をする。
そして、罰が悪そうな顔をした。


「あの後さ。……私も自分の行いとか考えとか反省したんだ……私はただ、自分に正直なハンターでいたいだけ……だから別に、今以上に危険なことはしないよ……」

「そう願いたい所だね」

「……だからもう、ああいうことはしないで」

「わかってる。しないよ」

「えっ」


こちらの言い分をあっさり了承するイルミを不思議そうにじっと見上げた。すぐに2人の視線がぶつかった。


「なに?」

「そんな簡単にわかってくれるとは思わなかった」

「死んだ方がマシとまで言われるとね。別の手も必要かなって」

「…どういうこと?」


リネルは眉間を寄せ、少し難しい顔を見せた。


「感情が能力を勝って 本当に死なれたら本末転倒だし」

「……よくわからないけど、それも抑制出来るような能力なんじゃないの?」

「その筈なんだけど。例外もあるみたい」

「例外?」


イルミは腰を折り、リネルの顔をまじまじと覗き込んでくる。


「キルとリネルってなんか似てるトコあるし」

「え、……あれキルアにもやってたの?!」

「まあね。オレの一存てワケじゃないけど」

「……そうだったんだ……」


前例に助けられたというか何というか。
胸中は複雑なものがある。



「つまり、私の言い分をわかってくれたというよりは イルミの都合なんだね…」

「半分半分かな。実際」

「半分……?」



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