第62章 告白

「リネルがそんなに嫌だって言うなら、もう少し様子見るか他の方法を考えるし」

「……」

「要求があるならなるべく聞いてあげたいとは思ってるし」

「ホントに……？」

「言わなかったっけ。リネルのことは大事だって」

「……い、言った」


いよいよ気まずくなってくる。リネルはつい、目線を斜め下にずらした。


刹那 静寂が訪れた後、イルミがはっきりと告げてくる。




「この前の話の続きしようか」

「う、うん」


イルミはリネルの部屋のソファに足を進めるとそこへ腰掛け、足を組む。








「確認だけど聞く気ある？」

「……ある、……」

「ふーん、クロロの事はもういいの？」

「うん。えっと、…あの日は色々動転してたし。あれから色々考えて整理して。私は自分の意思で……これからもここにいたいと、思ってるの……」

「そう」



イルミは顔をリネルに向けた。自室の中だと言うのに、まるで借りてきた猫のように今日のリネルは随分小さく見える。

食い入るように視線を投げれば、ちらちらそこに応えてはあからさまに目を反らす。そんなことを繰り返すリネルに対しては、正直未だに、危なっかしさしか感じないのが事実でもあるが。

そして何より、この先の反応にも興味がある所だ。






「リネル」

「……」

「オレはリネルが好き」

「…………………」










「聞こえなかった？」

「…………き、聞こえた」



にわかに頬を染め固まるリネルは、いつかの記憶喪失の晩のように単純明快にわかりやすかった。


「この前言わせなかったのは何を言われるかわかってたからだよね？」

「うん…」

「知ってたのに今更何をそんなに驚くの？」

「…実際言われると…それはまた、違うから」

「言って欲しいならもっと言おうか？」

「い、いいよ！いい！わかったからもういい！！」

「欲しくないなら言わない」

「……からかってるの？」

「全然」



平然としたままのイルミを見て、リネルは自分を落ち着かせるように何度も長く息をつく。
そして、目線を下に落とし 平常心を装いながら小声で問いかけた。