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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第61章 連絡


2人は リネルの部屋のソファに並んで腰掛けながら 他愛ない会話をしていた。

相変わらず、カルトの物言いはいちいち突っかかる点がある。しかし今ではそれも気にならなくなっていた。


ふと会話が切れた時、カルトが急に真面目な顔をする。下を見ながらリネルに言った。


「リネル」

「なに?」

「……家出したって本当?」

「え、なんで知ってるの?」

「今日団長と話してて会話のニュアンスでボクが勝手にそう思っただけ」

「鋭いね。カルトは」

「…本当なんだ…」


カルトは一度、ゆったりとまばたきをする。
静かな声で会話を続けてくる。


「ウチを出ていくつもりなの?」

「ううん。一時的なものだから。……正直、いっそ出ちゃうのも考えなくもなかったけど」

「えっ ほんとに?」

「うん。……でも、あれ カルトは私を認めないから出ていけって言ってなかったっけ 前に」


カルトは毅然とした口調で述べた。


「勘違いしないで リネルの事を心配してるわけじゃない。ボクが最初にそう言ったのも原因の一つだったら後々 嫌だなと思っただけ」


カルトも大概、感情の伝え方は不器用だ。それでも伝わるものがありリネルは伺うように聞く。


「……もしかして、心配してくれてたの?」

「そうじゃない!ほら お母様だってリネルのこと可愛がってるし」

「ありがとう。カルト」

「え?」

「カルト見てるとほんと反面教師、その素直じゃない所とか」

「だからボクは別に何も!」

「うん。わかってるよ」


笑顔で言うリネルに対し、カルトは声を低くする。


「ボクは兄さん達のことはそれぞれ認めてるし尊敬もしてるけど」

「うん……?」

「イルミ兄さんはオンナの趣味が悪いと思う」

「まぁ……悲しくも自分で否定出来ないけど」

「しいて言うなら顔だけじゃん。お前」

「え?顔は可愛いってこと?」

「そうは言ってない!ブス!」


あまりに単純なやり取りに笑いがこみ上げた。


「カルトに何を言われても認めてもらえなくても、もう絶対出て行ったりしないから。これからは安心して悪態ついていいよ」

「神経図太いし図々しい」


カルトはどこか安心したように、溜息を吐き捨てた。





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