第61章 連絡
翌日 AM 00:15
「………帰ってこないじゃん」
その日の夜、リネルは自室でソファに座り 膝を抱えながら 携帯電話を睨み付けていた。
あれからいつになくそわそわした気持ちのまま 普段よりも急ピッチで仕事を終わらせ帰宅したにもかかわらず、イルミは不在で少し肩を落としていた。
しかし時間の指定はなかったといえばそうなので、テレビをつけてみたり 携帯電話をいじってみたりと時間を潰してはいたものの いつの間にか深夜0時を過ぎてしまっていた。
「嘘つき」
悔しいような感情の中、携帯電話をじっと見つめた。
「………イルミに限って何かあったっていうのはないとは思うけど」
急にある事を思い出した。
はっと焦るような顔をする。
「もしかして、喧嘩と時に私がつけた傷のせいで何か……?!」
少し考えてゆっくり首を傾げた。
「ないか。……あの時イルミは咄嗟に利き手を庇っていたから私が傷付けたのは逆の手だし。この家とんでもない訓練散々やってるし私の攻撃くらい何てことなさそうだし……」
両手をあげて、うーんと大きく伸びをした。
「もう寝ちゃおうかな!帰らないし!」
とは言ってみたものの、とても大人しく眠れる様子でもない。
「遅れるなら連絡くらいしてくれてもいいのに……」
所在を求める連絡を入れようとも考え、一旦着信画面を表示してみる。
「……やめよ。しつこいと思われても嫌だし、私が必死にご帰還をお待ちしてるみたいに思われそうだし……」
画面に表示される名前を見ながら 膝を抱え直した。
「……なんで待たせるの……ばか」
そんな時、部屋にノックの音が響いた。