第61章 連絡
翌日。
いつものように目を覚まし、まず携帯電話に無造作に手を伸ばした。
「………!」
昨晩に送ったメールに返信があった事に 目を大きく見開き、さっと身体を起こすと 携帯電話をじっと覗き込んだ。
「“今日中には帰れそう”……」
いざそう連絡が入ると不思議とそわそわ落ち着かない感覚を覚えてしまう。安堵と緊張を感じる中 携帯電話を置くと ベッドから出て、普段通りに仕事に向かうべく支度をはじめた。
◆◆
職場につくなりまずはパリストンの元へ行き、昨日の休暇の礼を述べた。
「昨日はお休みいただきありがとうございました」
「いえいえ」
パリストンは机の上に束になって置かれている書類をトントン揃えながら、パリストンは 思い出したように述べた。
「そうだ。スノークロノスの件、迅速に対応いただいたおかげで 新たに出荷されそうだった分も抑えることが出来たので犠牲者もだいぶ減ったと報告がありました」
「そうですか…良かった…」
「リネルさんの働きのおかげですね」
「…そんなことないですよ」
リネルは目線をずらし手元の資料に向けた。
上からパリストンの声が降りてくる。
「リネルさん、何かいいコトありました?」
「え?」
「なんだか嬉しそうにお見受けしたので」
「そうですか…?」
「ええ。雰囲気と言うかオーラと言うか」
「…お休み明け、でもありますし?」
言葉は少々濁しつつ、やや上目遣いでパリストンの顔を伺った。パリストンは今日も眩しいくらいのキラキラオーラを放って見せている。
「あはは、若いっていいですよね~」
「そんなには変わらなくも見えますけど。実際いくつなんですか?」
「もちろん秘密ですよ」
「ビスケちゃんみたいな例もあるから、この界隈はわからないから怖いです」
「ご想像にお任せします」
リネルは たしなめるようにパチリとウインクを決めるパリストンの前を去り、急ぎ任された仕事に取り掛かった。