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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第61章 連絡


リネルはその後 まっすぐゾルディック家に帰宅した。
すでに時刻も遅く静まり返る廊下には人の気配はなかった。


クロロへの気持ちに決着をつけ 何故かヒソカに励まされる事になり、少しだけ前向きにイルミと話が出来そうな心持ちではあった。

しかし当の本人が帰らずではことが進まない。
自室に戻ってみるものの、隣室には人の気配がないのがわかった。


静かに、自室に入る。
無意識にも壁面扉へ視線を投げて、小さな声を出した。



「………イルミ………いつ帰る?」



“この勢いで話せてしまえばいいのに” そんな自分勝手な思いが頭をよぎった。

そして、一人、ふるふる頭を振った。こう言った自分本位な考えがヒソカの言う「自分こそ史上の正義」の意味なのだろう。

気持ちの上でクロロから卒業し、ヒソカから人付き合いとは何たるかを諭された。きっと少しだけ、今までよりは上手にイルミと和解が出来るはずだ。


「…………」


しばらくの間、考え込むようにイルミの部屋を睨んだ後、深く溜息をついた。



素早くシャワーを浴び、ベッドに身体を倒した。

明日はまた仕事、急な出張の報告書類の目処は立っているが まだまだ他にもやることはたくさんある。
パリストンの計らいでもらった今日の休日を 気持ちの整理という意味では それなりに有意義に過ごせたとは思うが、その分 明日からはまた 残る仕事を片付けていかなければならない。


「…………とりあえず、眠らなきゃ」


理性で考えなければならないことは山積みだ。感傷的な気分にのみ浸っているわけにもいかず リネルは無理矢理に瞳を閉じた。




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