第58章 疲れ
翌日。
リネルはハッと目を覚ました。
すでに部屋には明るい目の光が差し込んでいた。
時計を見れば 時刻は昼前。
こんな時間まで寝ていた事に自分でも少し驚いたが、そのおかげか昨晩よりはかなりスッキリした気分で目覚める事が出来た。
ベッドから降りシャワーを浴びた後、ゆるい格好のまま見たいわけでもないテレビをつけ ぼーっと画面を眺めていた。
気配もあったので察することも出来たが。突然部屋に響いたノックの音に目を向けた後、リネルは返事を返した。
「どうぞ」
「リネルちゃん?」
「キキョウさん」
「今日は在宅だったのね」
ドアからはキキョウがひょっこりと顔を覗かせた。
リネルがキキョウの元まで足を運ぶと、キキョウは普段通りの明るい声色でリネルに話し掛けた。
「出張してたんですって、お疲れ様」
「はい、無事終わりました」
「今日はお休みかしら 貴女がこんな時間まで家にいるなんて」
「ええ、たまたまお休みもらいまして。なのですみませんこんな格好で」
「あらいいのよ」
リネルはキキョウが胸元に握っている封筒のようなものに目線を向けた。それに気づいたキキョウは封筒をスッと差し出した。
「この前の写真、リネルちゃんにもあげようかと思って」
「写真?」
リネルは受け取った封筒の中身を出した。
封筒の中にはクリスフォード邸に潜入した時、出がけに使用人に半ば勝手に撮られたイルミとの写真が入っていた。
「ああ、……あの時のですか」
「なかなかよく撮れてるでしょう」
「そうですね。ありがとうございます」
「ほほっ リネルちゃんがお仕事手伝ってくれるなんてこんな嬉しい事ないわよね」
リネルは手元の写真を見つめてみた。