第57章 会話
「リネルさんの淹れるコーヒーって美味しいですよね」
「そうですか?」
「ええ。お世辞抜きに」
「……知り合いにコーヒー好きな人がいて、その影響かも」
「そうですか」
「美味しいですねこのドーナツ、さすがは有名店」
「喜んでもらえてよかったな」
2人は向かい合いながらしばしの休息をとっていた。
疲れた身体に程よい甘さのドーナツが素直に美味しかった。
急に、パリストンがリネルの前にプレゼントのような物を差し出した。
「どうぞ、ダブル取得おめでとうございます」
「えっ ありがとうございます。なんですか?これ」
「お気に召すかわかりませんが」
綺麗に包装されている包みを受け取ると、何やら過去の記憶が蘇り つい怪しむ顔を見せた。
「……もしかしてまた、変な……?」
「変とは心外だなぁ。アレ役立ったでしょ?」
「激しくノーコメントです」
「あはは、それって大活躍しましたって言ってるのと同じですよ」
パリストンは穏やかな笑顔のままコーヒーを啜った。
リネルは手元の包みをあけた。
「綺麗。これ…………楯、ですか?」
「ええ ライセンスの証明書を入れるそういった物があるんですよ。わざわざ所持して飾っている人の方が少ないとは思うけど」
「へぇ~ 宝石ついてて、キラキラしてて本当に綺麗」
「監修はリネルさんもよくご存じのビスケさんですよ」
「なるほど どうりですごく華やか。まともな物で、びっくりしました」
「はは、まさか ああいうの期待してました? じゃあ次はキワドイ下着かコスプレ衣装にしようかな。旦那様のご趣味は?」
「知らないし知りたくもないのでホントやめてください」
「なら僕のチョイスにさせてもらおうかな。キャリア女子のリネルさんにはあえてのメイド服か学生服とか」
「マジでいらないですから。」
ツッコミを入れつつも 美しく光る楯に見惚れていると、パリストンの口から予想外の言葉で出てきた。