第56章 回答
帰りの電車内。
リネルは窓の外に目線を向けていた。
侵入が容易かったし欲しい内容もすぐに掴めたおかげで無事には終わって一安心だ。あとはコピーを取ったデータをハンター協会のパリストンに渡し、なるべく早く正式に対応してもらえばいい。それで犠牲者を少しでも減らせるだろう。
昨晩に見た吐き気を覚えるような光景を思い起こし 眉をきつく寄せていると、ポケットの携帯電話がバイブレーション音を立てた。
急ぎ携帯電話を取り出し画面を確認する。
画面に光る人物の名前にリネルの心臓が音を立てた。
リネルは戸惑う顔を見せた後、その電話に応じた。
「よう」
「クロロ……」
「その後連絡ないが 大丈夫か?」
「うん。なんとか大丈夫だけど。どうしたの?」