第55章 距離
要約して経緯を全て話終えた後、リネルは手元に残っていた最後のスシを口に運んだ。
「なるほど。出逢いや縁はわからないものだな」
「ほんと」
「しかしリネルがそんなに前からハンター協会のために影ながら働いてたとは知らなかった」
「クラピカみたいに個人で雇い先探すよりはローリターンだけどね、その分リスクも低いし」
腕を組み考えるような顔をしていたレオリオが、神妙そうにリネルを見つめた。
「…リネルちゃん」
「なに?」
「…ハンター協会に色んな仕事がある事もリネルちゃんの苦労もよーくわかった」
「?…うん」
「リネルちゃんいい子だし可愛し、…なのにそんなアングラな仕事してんの勿体ねぇって!」
「は?!」
「もっとこうモデルとかさ、全然いけそうじゃねぇか!」
「私そういうのガラじゃないから。ハンターやってる方が絶対面白い」
「あんなとこでこき使われてんのが?」
「こき使われてるのは否定しないけど情報が割と集まるって意味では悪くはないよ。ま、レオリオにもそのうち手伝ってもらう予定だしね」
「はぁ?!無理無理、あんなとこオレなら1日で逃げ出すね!」
「そのうちレオリオへ正式にうちへのヘッドハンティングがいくってもっぱらの噂だし?」
「おいおい!冗談じゃねぇよ!」
派手に文句を言うレオリオにクラピカがあっさりと言った。
「選挙時にあれだけ目立った行動をしているんだ、当然と言えば当然だな」
「クラピカ、オメーみてぇなクソ真面目の方がああいうお堅い組織の長には向いてんじゃねーのか?」
「そんな事に興味はない、私は」
「あはは、でも正直もうやだなぁ選挙は。あの時は死ぬ程忙しかったもん」
「オレだってごめんだぜ…誰が一番ビビったと思ってんだよ…」
「でもおかげで協会のバイトの女の子の中にレオリオのファンが何人か出来たんだよ」
「マジっ?!紹介して!頼む!」
「んー どうしよっかなぁ~」
「…レオリオはそればかりだな…」
その後も、3人はしばらく話を続けた。
そしてそれなりに時刻も老けてきた頃 各々の宿泊先へ戻る事になった。