第52章 出張
「レオリオはどうしてあそこにいたの?」
「あの会社は元々うちの病院と取引あってな。急に頼まれたんだよ、調査の時に社内とは別の立場の しかも医者って人間がいるとかなり印象いいからとか何とか」
「……なるほど」
「ウチの病院じゃオレもまだ下っ端だしな。体良く回されただけ」
「あはっ 下っ端でこき使われてるって私と一緒だね」
レオリオと話しながら リネルのスノークロノスへの違和感はますます強くなっていった。
話題の切れ目に黙り込むリネルの耳に、明るいレオリオの声が飛び込んだ。
「仕事明日も続くんなら今日は泊まりだろ。これから呑みにでも行かね?」
「んー 泊まりは泊まりなんだけど、まだやる事あってあんまり遅くまでは……」
「女のコを遅くまで連れまわしたりしねぇって。今日はもう一人懐かしいヤツと約束してんだ、リネルちゃんもよく知ってるヤツだし一緒に行こうぜ」
「……誰?」
「そりゃあモチ会ってのお楽しみ!」
少し考えてからリネルは返事を返した。
仕事は深夜、それまでに戻れば問題はない。
「うん。じゃあせっかくだしご一緒させて?ここまで来たのに1人ご飯も寂しいしね」
「よっしゃ。んじゃ30分後に駅前集合で」
「わかった。後でね」
リネルは電話を切った。
そしてレオリオの言うもう一人の人物が誰なのかを考えていた。
「レオリオとの共通の、懐かしい知人……か」
何と無く、察しはついた。
リネルは鏡の前で軽く身支度を整え直し、ホテルの部屋を出た。