第52章 出張
4時間後。
「みなさまお疲れ様でした。それでは明日は企業内の見回りをさせていただきますね」
「はい。了解しました」
「では本日は終了です、私はこれで失礼いたします」
「お疲れ様でございました」
かなり長時間にはなったが その日の調査を終え 挨拶を述べた後、リネルは異様に疲れた顔をしているレオリオをちらりとだけ見てからスノースロノス社を出た。
今夜のホテルは既に押さえてある。ホテルの部屋に入ると、先程の仕事についてを思い返した。
何故レオリオが居合わせたのかはこれから電話で聞けばよいが、用意してあった質問に対し 違和感を覚える程に完璧に返ってくる回答にリネルは疑念を抱いていた。
その辺りの詳しい事は深夜に忍び込み内情を探ればハッキリするはずである。
そう考えているとリネルの携帯電話が音を立てる。
着信の主を確認するとすぐにそれに応じた。
「レオリオ!私も今かけようと思ってた」
「今日はいきなり驚いたぜ。……何してたんだ?」
「実はハンター協会の仕事で来てるの。身元は伏せてあるから明日もその調子でよろしくね」
「なるほど。ゴルコンて言っておいて正解だったな」
「うん。……キャバクラとかコンパとか、レオリオの私生活が垣間見えたけど」
「違ぇってマジ!マジで。今クソみてぇに真面目にしか生きてねーからこその無いものねだりっつーか、願望っつーか」
「はいはい。でもありがとうね。めちゃくちゃ助かったよ!」
「おう」
リネルは携帯電話を耳に当てたまま 部屋にある椅子に腰掛け脚を組んだ。