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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第49章 失敗


「…っ、……うっ、」




しんとした部屋にはリネルの啜り泣く声が響いていた。




「……、……っ、……」

「ただ泣かれてもヤりがいないんだけど」

「…、ッ……っ」

「せめてさっきみたいに抵抗してくれた方がいいな」

「……、っ、」

「大体リネルらしくないよねェ ただ泣くなんて」

「………、…」

「失望させるなよ」


ヒソカは少し身体を起こす。泣きじゃくるリネルをからかうように言う。


「キルア殺っちゃうよ?」

「…それは、やだッ…」

「ならもうちょっと必死になってよ」

「……っ、……」

「ムキになっているリネルが見たいのに」


リネルにはもうそんな気は一切なしなのは明白だ。ヒソカは小さく溜息を落とす。


「ねぇ、誰を思って泣いてるの?」

「……」

「教えてよ」

「……」

「一応結婚してるワケだしイルミ?それともずっと好きだったクロロ?」



リネルは涙を拭うようにまばたきをし、微かな声で言った。




「……キルア……」

「なんだって?」

「キルアを……私の勝手で危ない目に合わせて……っ」

「ああ、そういうコトね」


ヒソカはふうと息をついた。


「ボクは、クロロ って言って欲しかったな」

「…っ、なん、で」

「イルミって余裕なくすと結構~短絡的で行動読めるだろ?だからこそ、過去からの深い絆がありそうなクロロの反応の方に興味あるなぁ」




リネルは いつの間にか普段通りの表情に戻っているヒソカを 警戒する顔付きでじっと見ていた。

ヒソカは口調を軽くし、さらりと言った。




「この前に闘った時も思ったけど リネルっていざって時に想定外の反応するよね」

「……」

「そういうトコロも、いい意味でズルいよねぇ」

「……」

「そろそろゴンが起きそうだし」

「え…っ」

「また遊ぼ♡」


ヒソカはソファで寝返りをうつゴンに視線を向けた。

ヒソカを睨み見ながら、リネルは庇うようにキルアに身体を寄せていた。

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