第47章 恋話
ニヤリと笑うヒソカを見ながら、リネルはふと眉根を寄せた。
「………ん?ちょっと待って。どうして振られる事が前提なの」
「勘だけど。オトコのプライドってモンがあるだろ」
リネルが複雑な表情を見せ押し黙ると、ヒソカは笑みを深くする。
「万が一、両方に玉砕しちゃったらボクが遊んであげる」
「えっ」
「飽きるまでは♡」
「…そういうハイリスクなのはやだ」
「普段は危なっかしいくせに、こういう事にはずいぶん慎重だな」
「…そんな事ないもん」
「そうかい?ああいう思い込みの激しいタイプには直接ストレートに言わないとわかんないだろ」
「……」
「白黒はハッキリしてそうだし言えば答えは早いと思うけどね」
「………」
黙り込むリネルの肩にぽんと片手を置くと、ヒソカはリネルの顔を覗き込んだ。
「まぁいいや、結果報告待ってるよ」
「なにそれ」
「振られるか否」
「…楽しんでる?」
「もちろん」
キッチンを去るヒソカの背中から 手元の食器に目線を落とし、リネルは先程ヒソカに言われた言葉を頭に浮かべていた。
『振られてから仕切り直す。』
なんとも重たい選択だ。リネルは長い息をついた。