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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第4章 報告


白いプレートが空になる頃、ビスケが少し身を乗り出してきた。

「まぁいいわさ。理由なんて後からいくらでも出てくるもんだから。で?どこの誰なんだわさ?お相手は」

一瞬言葉を選ぶ。ビスケの質問にリネルは少し考えてから答えた。

「…ええと。ゾルディック家の、」

「ゾルディック?へええ名家じゃないの。先代のご当主とは少し付き合いあったんだけど。なに?妾入りってこと?」

「え?!まさか!!…え…?ゾルディックってそういう一夫多妻とか、そういう家柄なの?!」

「詳しくは知らないけど あれだけの資産家ならばあり得る話よね」

「そ、そこまで確認してなかった…」

あのイルミに限り、正妻の他に多数の妾を侍らせているとは想像が出来ないが もしも万が一そうだったとしたら。

心外甚だしいしこの結婚話は即白紙に戻してやるべきだと断言出来る。口をパクパクさせるリネルに ビスケはにんやり笑みを見せた。

「冗談よ。確かちょうどリネルと同世代くらいの孫がいるって聞いた気がするし、そのコでしょ?リネルの結婚相手」

「ん。…多分…」

「しかしゾルディックとは。また偉い玉の輿に乗ったものねー」

「えっそうなるの?!」

「なるわさ?暗殺業と言ったら彼等の右に出る者いないしね」

「私は別にそんなつもりじゃないんだけど…」

「おや?それ狙って最初からツバ付けたんじゃないの?」

「まさか!私地位や家柄にそこまで興味ないし」

リネルはぷいと顔を背けた。ビスケはふふふと怪しい声を出してくる。

「でもいいわねぇ~宝石もジャラジャラもらい放題だわさ?」

「私宝石興味ナイし。そしてあの人は絶対に買ってくれないと思う」

「新妻のおねだりなら聞いてくれるわさ?」

「するわけないでしょ!そんな媚びるようなことするくらいならばそれくらい自分で買うし!」

ふんと鼻を鳴らすリネルに ビスケはにっこり笑顔を向けた。



「まぁいいわさ。とりあえずリネル 婚約おめでとう」

「……おめでとうって言葉がすんなり入ってこない」

「相変わらず、素直じゃないわねー」

「……別に普通ですけど」

リネルは、残ったコーヒーを飲み干し逃げるように席を立った。





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