第46章 家出
時は夕刻。半ば無理矢理に全ての業務を片付けたリネルは、キルアとゴンに指定した待ち合わせ場所へと向かった。
「キルアー!ゴンー!お待たせー」
「お疲れ~ しかしマジなの?家出って」
「オレとしてはあんまり乗り気しないけどね」
キルアは思い切り呆れ顔、ゴンに至っては心配丸出しだ。そんな二人を前にし リネルはきっぱり言った。
「私 本気だから」
思い切り据わった目するリネルを見て、2人は顔を見合わせる。
「……相当ご立腹みたいだな。今朝のこと」
「そんなに派手に喧嘩してたの?」
「オレが止めに入んなかったらヤバかった」
「え?!そんなに?リネル危なかったんだ、だからあんなに怒ってるんだね」
一人さくさく先を行くリネルに、キルアが後ろから駆け寄った。
「そいやリネル 家出ってどこ行くんだよ。ホテルでも泊まんの?」
「ううん。ライセンス使われて宿泊記録取られると居場所バレるし。携帯も探知の可能性あるしゴンはともかくキルアはしばらく携帯禁止ね」
「……徹底してんな」
リネルの横に足を進め、お次はゴンが訊く。
「じゃあリネルどこに行くの?あ、実家に帰るんだっけ?」
「実家?ねぇだろ。そんなの」
「……見方によってはなくもない。でも私はこれ以上揉め事を増やしたい訳じゃない。だから今日は実家は頼らない」
リネルはポケットからメッセージ付きのトランプを1枚取り出した。それを睨むように見ながら 低い声を出す。
「ヒソカのとこ行く」
「え?!ヒソカ?!」
「ハァ?!なんでそこでヒソカが出てくんだよ?!」
キルアとゴンの反応こそもっともだろう。リネルは手元のトランプを掌で潰し、携帯電話を取り出し連絡先から真っ先にヒソカを探し出す。
「元々私が記憶なくした原因はヒソカだし。今回は無条件で協力してもらう」
「記憶?記憶って?」
「ああ、ゴンは知らねぇのか。昨日かくかくしかじからしく」
「本当は今頃 パーティー報酬がっぽり入ってウハウハのはずだったのに。私の怪我も記憶も苛々も今朝の難癖も全っっ部ヒソカのせいだし!!」
ゴンはやや声を落としキルアに問いかけた。
「リネルはイルミじゃなくてヒソカと喧嘩したの?」
「オレもわからなくなってきた……」