第45章 客
わざわざ顔を出してくれたゴンにまで気遣いをさせてしまう自分には嫌気がさす。リネルは深く溜息をついた。
「リネル、何でそんなに怒ってるの?」
真っ直ぐ澄んだ瞳で聞いてくるゴン、リネルは朝方の出来事を思い出す。言いたい事は山ほどある、大人気ないとは思いつつも愚痴っぽく言った。
「…イルミのさ……持論で固めてそれを押し付けて強要する所、私はイルミの物でも道具でもなんでもないのに。私の事を信用しないで何でもかんでも根掘り葉掘り聞いてくる所、かと言ってこっちの質問には答えないどころかお金請求とかあり得なくない?とにかくさ、私の事を全っ然理解しようとしない所」
「そっかぁ。」
ゴンは少しだけ沈んだ声で言う、リネルは頭を下げ声を小さくした。
「ごめんね愚痴って。こんな話つまんないよね……」
「リネル好きなんだね、イルミの事」
「…え…」
まさかそんな事を言われるとは思いもしなかった。リネルは瞳をくるりと動かした。
「オレの育ての母親が教えてくれたんだけどね、その人を知るにはその人が何に怒りを感じているかを知るといいんだって」
「……」
「自分の事を理解して欲しいって、好きな相手に対して思う事だよね」
「……」
「リネルが怒ってるのは、イルミがリネルの事を理解してくれないからなんでしょ?キルアがよくリネルの事心配してるんだけど、ちゃんと好きで結婚したなら大丈夫だよね」
「……」
返答なくじっと見つめてくるリネルを見返し、ゴンはきょとんとした顔を見せた。
「あれ?オレなんか変な事言った?」
「…………ううん」
ゴンは笑顔を見せると 手元の料理に目線を向け、さらに言葉を紡いだ。
「喧嘩って事はイルミはイルミで怒る理由があるんだろうし、リネルもそれがわかれば仲直り出来ると思うよ」
「……」
「オレはイルミの事よくは知らないんだけどさ。やり方が正しいとは思わないけど キルアの事を大事にしてるのはわかるし、きっとリネルの事もすごく大事なんじゃないのかな」
「……」
「リネル、どうしたの?」