第43章 夜遊び
「私の携帯、さっきこんなにされました…」
「うっわ、派手に潰されたな」
口先で言い放つキルアの横から、ミルキがそれを手に取り前後左右を観察しながら言った。
「ふーん。メモリー部分は無事そうだし本体取り寄せればある程度は復元出来るかもよ」
「え?ほんとですか?」
リネルはミルキに向かい驚きの顔を見せる。瞳を丸めて身を乗り出した。
「ミルキさんすごいですね、そんな事出来るなんて!……直して、もらえたり……?」
「まぁいいけど。有料な」
「ええぇ?!お金は今はそこまで持っていなくて…」
「ハンターだか何だかで結構荒稼ぎしてんの知ってんぞ。いいよ、記憶戻ったら請求しておくし」
「ありがとうございます!では支払いとかその辺は今の私に任せるって事で、とりあえずお願いします!」
「…ああ。なんつーか調子狂うな、今のリネル」
うまく携帯電話が復活したらまたクロロと連絡が取れるかもしれない、リネルの期待はそこだった。
キルアが伸びをしながら退屈そうな声を出す。
「てかさ、暇。これから何する?」
「そうだな、食いモンもなくなってきたし」
「寝る?」
「え、待って待ってっ!!」
行き場のないリネルとしては寝られては困る。リネルは大画面のテレビ付近に並ぶ複数のゲーム機を見ながら言った。
「じゃあゲームでもしませんか?たくさんあるみたいだし」
「何か出来んのあんの?一通り揃ってるけど」
「んー、……あ!」
リネルは前のめりになる。ハンターとして知っている有名ゲームと言えば一つしかない。
「グリードアイランドありますか?やった事なくて興味あります!」
「オレはパス。既に全クリしたし」
「え?!キルア君すごいね…あれって結構ハードだって噂だけど…」
「どうって事ねえよ。ま、兄貴なら即ゲームオーバーだろうけど〜」
「あ?殺すぞ」
びきびき尖る雰囲気を出してくるミルキを宥めるべく、リネルは他の提案に切り替えてみる。
「まあまあまあまあ!じゃあ、他のどのゲームやりましょうか?ミルキさんのオススメを教えてください!」
「リネルーこのタイミングでそれ聞くか?朝まで止まんねえぞ、オタトーク」
「朝まで?!い、いいよ……しましょう!ゲームトーク!」
こうして夜が更けていった。