第4章 報告
「ハンター協会の内情をある程度掴んでおくのも悪くはない」
「8割くらいは掴んでもらおうと思ってるけどね」
イルミはしらりと言ってのける。痺れを切らしたのか、キキョウが二人の間に割って入ってくる。今度はキキョウがイルミに詰め寄り、ぎゅうと腕を掴んだ。
「アナタ恋人がいたの!?なぜ報告しないの!!」
「別に隠してたわけでもないんだけど。聞かれなかったから」
何となく成り行きで選んだ相手と知れたらまた大騒ぎをされるかもしれない。キキョウの手前、イルミは適当にその場を持たせていた。キキョウは構うことなく次の質問を投げ掛けてくる。
「もうそういう年頃なのに仕事ばかりで浮いた話の一つもなくて!心配していたのよ?!お見合いだって、私がアナタの為に、」
「ほっといてよ 子供じゃないんだし。まぁ色々やってくれてた母さんには悪いけど」
キキョウはさらに言葉を返す。声色はどこか楽し気なものに変わっていた。
「まあいいのよ!イルミがついに結婚なんて…ああ、すてきねぇ~ほほ、楽しみだこと。一体どんな子なのかしら?」
「どんなって言うと、……ハンター?」
「お会いするのが待ち遠しいわ、おめでたいこと!ねぇ、あなた」
「うむ」
キキョウと顔を見合わせた後、シルバはイルミに告げた。
「その娘 一度うちに連れて来い」
「うん。そのつもり」
イルミは返事を返す。
とりあえず両親の合意をとってしまえば、あとは簡単に事が進むだろう。漠然とそう考えた。