第41章 帰宅
長い道のりを進む車が向かう先に、ふとした疑問がわく。
「あの、イルミさん」
「なに?」
「どちらへ向かっているんですか?」
「家だけど」
イルミはしらりとそういった。この辺りの土地柄に詳しい訳でもないし来た事もないが、知る人にとってはここは有名な場所だ。イルミも能力者である以上、それくらいは知っているはず。リネルは再度念押しの質問を投げた。
「この先って、ククルーマウンテンですよね?」
「うん」
「ククルーマウンテンて暗殺一家の土地ですよね、民家なんてない気がしますけど。そもそも普通に入れるの?一体どこに…………住んで…………ッ」
自分で言ううちに、自分で一つの答えが出た。
色々驚くことばかり、リネルの目の色が変わり明らかに警戒が増す。ここに住むとは即ちその暗殺一家の一員であるという意味か。一方のイルミは落ち着き払っているしその信憑性の方が高くなってくる。
「もしかしてイルミさんは……ゾルディックの方なんですか?」
「うん」
「そう、ですか……」
「別に緊張しなくていいよ。リネルも今は身内なワケだし」
「……一体、どういう経緯で……そんなお家柄の方と、私は出会いがあったのか……」
「さあ?最初に仕事の依頼してきたのはリネルの方だし」
始終、そわそわ落ち着きをなくすリネルに向かい イルミは一つの疑問を投げる。普段のリネルからは想像も出来ないくらい、にじみ出る雰囲気が素直でわかりやすい。姿はそのままなだけに妙な違和感がある。
「そういえば今の精神年齢いくつくらいなの?」
「ええと 記憶の感じからは……ライセンス取ったのが14くらいだから……15か16?……」
「ふうん。どうりで子供みたいなんだ」
「もう子供じゃないですよ」
最後の一声だけは、背伸びの効いた鋭さがあった。