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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第40章 試行錯誤


「……私は、元々は流星街の出身で そこでクロロに会って。後はずっとクロロと一緒にいて。クロロが幻影旅団を作った時にはそこに誘ってももらって、でも私はそこには入らなかった。……で、数年後にハンターライセンスを取ってハンター協会に入りました……その後は、……すみません、わかりません」

イルミは腕と脚を組む。
伸びる背筋をソファに預けてから口にした。

「記憶の後退。だからオレやヒソカの事は出会ってないからわからない。そういうこと?」

「……はい、かもしれません」

「なるほど♡純真で擦れていない複雑な頃に戻ったワケね」

状況は空回り、クロロは投げやりな溜息をついた。


ふと静寂になる。リネルは回りの大人たちの様子をちらちら観察していた。

状況を楽しんでいるように見えるヒソカは、雰囲気は明るいがどこか言っていることがどこかちぐはぐで重みがない。何を考えているかわからないし味方なのかも読めないままだ。
今の自分の夫であるらしいイルミは リネルを心配しているというよりはこの予期せぬ面倒事に辟易しているように見える。親身であるとは感じられなかった。

隣を見上げるとクロロが困った顔で微笑んでくれた。リネルは弱々しく口にした。

「クロロ……どうすればいいの?」

「もちろん、記憶を戻すのが一番なんだが」

「どうすれば戻るの?」

「オレに聞かれてもな……そうだイルミ、お前の能力で何とかならないのか?」

クロロの問いにイルミはすぐに返事を返した。

「記憶は時間軸を持つ。行動と思考の範囲を越えるし厳しいかな」

「クロロが前に見せてくれた占いにヒントが出るんじゃないかい?」

「オレも考えたがあれは無理だ。占うにあたり情報が足らなすぎる、誕生日もわからんからなコイツは」


ぴくりと一瞬の、気付くかどうかの微々たる変化。クロロはそれをきちんと拾うし思い切り呆れた声を出す。

「イルミ、いちいち反応するな。それも初耳か?」

「知ってるよ。てゆーか社会的な存在データはともかくさ、出生情報すらわからないってどうなの」

「えっと……すみません……色々と、すみません……」

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