第36章 嫉妬
「へえぇ、この前も思ったけどリネルほんとにキレイになったね。見違えたよ」
「え?!あ、ありがと……」
「昔はカワイイって言葉の方が似合ってたけど、今は両方似合うというか」
「……シャル、なんかチョット 褒めすぎじゃないのそれ……」
そこまではっきり言われるとさすがに恥ずかしくなる、リネルは目線を下にそらせた。隣からはフィンクスが 引きつるような声を出してくる。
「シャル……お前は……真顔でフツーにそういう事を言うなよ……」
「だってほんとにそう思うし。フェイタンも思わない?」
「そうね。弱音吐いて泣いてばかりの頃とは大違いね」
「えっ?!私そんな事あったかな……?」
リネルは1人、唸りながら腕組みを見せている。フィンクスはリネルをちらりと見た後、ぷいと目線をそらせて言った。
「ま、あれだな…………イメチェンだな、だいぶ」
「あはは、何それ!イメチェンてこのタイミングで言うかな!」
「褒め方が下手にも程があるね」
「うるせーな、お前らは!殺すぞ!!」
こういったやり取りは懐かしかった。ついクスクスと笑みを見せた後、リネルは気になっていたことを聞いた。
「ねぇ……今日クロロも来てる?」
「リネルはまたそれか……交互に見張りしてる、時間になればそのうち降りて来るんじゃねーか?」
フィンクスは呆れた声で答えてくれた。
リネルは頭の中にいくつかの質問を浮かべた。本日の件で 訊きたい事があるし、聞くならば指揮をとっているクロロが早いだろう。急に考え込む顔をするリネルの目の前に、華奢なカクテルグラスが飛び込んで来る。にっこり微笑んでいるのはシャルナークだった。
「ま、仕事は上の階の奴等にやらせてここは見張り同士、仲良く乾杯でもする?」
「え?……うん、ありがと」
「この前みたく飲み過ぎて潰れねぇよう気をつけることだな」
「うっ……フィンクス、それは言わないで……」
「みともなかたね」
「あはは、……カルトはまだ子供だからしょうがないで許されるけど、私は恥でしかない……」
苦笑いと共に、リネルは手渡されたグラスを彼等と合わせた。