第31章 依頼3
パリストンに言われた通り一旦給湯室へ向かう。
数ある中からジャポンのグリーンティーを選んでみた。玉露とか言う良い品らしく最近パリストンがえらく気に入っている。
冷蔵庫にはビーンズが揃えた菓子が数点ある。同じくジャポンから仕入れたらしい黒っぽいゼリー状の甘味物を皿へ移し、それらを塗り物の盆に乗せてジンの元へ戻った。
「どうぞ 粗茶ですが。あとジャポンの、ええと お豆を甘く煮て固めたお菓子なんですけど」
「ヨーカンか」
「ご存知でしたか?お口に合えばいいんですが」
「いただくぜ」
流石はジン、各国の菓子にまで博識なようだ。
添えた竹のフォークは使わぬまま、ジンはそれをひょいと口に入れてしまった。
「相変わらずパリストンの腰巾着してんだな。んな事続けてて楽しいのかそりゃ」
「う……返答に困る所ではありますが、経験や知識を効率的に知る意味では悪くないポジションかと思っていますが」
「ま、アイツはこの協会の悪代官様だからな。酸いも甘いも見放題だわな」
「あはは 確かに」
しばし世間話をしていた折 リネルはふと思い立つ。
昨晩のヒソカの依頼、このジンであれば何か手掛かりを知っているかもしれないと感じた。一縷の望みをかけるつもりで質問を投げかけてみた。
「ジンさん、質問してもいいですか?」
「ああ、なんだ?」
「J L A……ってご存知ですか?」
「そりゃ “影” のことか?」
「ええぇ?!!知ってるんですか?!」
ケロリと返された答えには、例の謎のキーワードも含んでいた。リネルは思い切り驚いて見せた。ジンはきょとんとしたまま口にした。
「んな驚く事か?前に言ったろ。情報を得るには まず人脈がものを言う、人との繋がりや仲間は大事にしろって」
「そうですけど。流石すごいですね……ネット上には一切の情報がなかったのに」
「ネットなんてのは氷山の一角で、上部だけのご近所付き合いみてぇなモンだ。現代っ子はコレだからな、事実は自分の目で見極めろよ」
「うわ、ジンさんに言われると重みがある……」
ヒソカやいちハンターである自身でも掴めなかった人物について さらりと知っていると言ったジンに賞賛の思いを抱いた。さらに望むなら知りたいのはその先だ。ジンに探る瞳を向けた。
ジンは顎を落としキラリと光る目でリネルを見据えた。